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ゲームへ挑む、臨場感の戦闘機『Jet Fighter Red』

子どもから大人までもが今熱中しているゲームアプリ「Roblox」。たくさんのインディーズゲームが揃ったプラットフォームに、wanoco4dさんの制作したゲーム「Jet Fighter Red」もあります。
未来的で機械的な3DCG作品が特徴的なCGアーティストであるwanoco4dさんが、今新たにゲーム制作に挑戦しようと思ったきっかけや、「Jet Fighter Red」の制作秘話を伺いました。

「Jet Fighter Red」について

───このゲームについて簡単に教えてください。

設備や敵性機体を破壊し強力な装備を得ていくことで、自分のジェット戦闘機を強化していくゲームです。

ゲームを作ろうと思ったきっかけを教えてください。

ジェット戦闘機や宇宙船が好きで、よくCGで飛行機をモデリングして飛行アニメーションを作っていました。そのモデルを他でも使いようないかとずっと思っていて、一番大きい選択肢だったのがゲーム制作です。

といってもいきなり飛行機ゲームは難しそうなので、歩き回るゲームを作ろうとしてました。そんなときに、Robloxのライブラリに飛行機のスクリプト付きモデルを見つけて、これで飛行機ゲームをすぐ作れる!と思い、勢いで制作しました。

───元々飛行機が好きだったのですか?

幼稚園に入る前くらいから、飛行機の絵を描いてました。ほぼ三角形のシンプルなものです。記憶があいまいですが、根本のきっかけは紙飛行機かもしれません。だから当時の飛行機も三角形だったのかもしれません。よく折って飛ばしてました。

───制作をしてみて、気に入っているところはありますか?

プレイヤー戦闘機と敵戦闘機の動作システムが同じところです。「エルデンリング」をはじめとしたフロム・ソフトウェアさんの設計思想を真似してみて、なんとか動いてるのがうれしいです。

ゲームサービスを作るというより世界を作るというイメージですね。

───初めてゲームを作る中で、新しく勉強になったことやこれまでの経験が役に立ったことなどはありますか?

コンストレイント(回転ジョイントなど)がBlenderと似てて慣れやすかったですね。逆にこれまでBlenderのコンストレイントが納得いかずに避けてたのが、今回で克服できました。

───飛行機のモデリングや世界観の制作はBlenderで作られているとお聞きしましたが、具体的にどんなプロセスで制作していますか?

Blenderでモデルやtextureを製作し、Robloxにモデルをインポートして並べたり、システムに組み込んだりしていきます。

モデルによってはプレイヤーが登れるようにしたりとか、何かとぶつかるように設定したりとか、逆に見えない壁にしたりします。

自分で用意したスクリプトを適用するためのタグというものを設定したり、属性という値を作ったりします。そこで重要なのが、モデルをどこで分けるかです。

Roblox studioをはじめ、Unreal EngineやUnityなどでメッシュを編集するのは難しいです。そのため、Blenderの時点で必要に応じてパーツを分割します。できるだけパーツは少ないほうが扱いやすいので、どう分けるかの戦略は日々練っています。

───試行錯誤していく中で、実際にプレイしている人の手元を見るなどして改良をしていたようですが、どんな風に改良していきましたか?

ゲームはプレイヤー自身が行くべきところに向かうよう仕向ける必要があり、最初は全然うまくいきませんでした。押してほしいボタンを強調したり、行ってほしいところへ直線を表示したりすると、なんとなくみんなそこへ導かれるようになっていきます。

現在はそういうガイドを作るにあたり、ゲーム内部でプレイ状態を段階化して、その段階をそのまま名前として「今すべきことが何か」と表示しています。

───今回ゲームを制作する中で、影響を受けた作品はありますか?

今回の場合はFPSのバトルフィールドシリーズです。戦闘機のリアルさに惹かれBF3を始めたのが出会いで、新作は大体やっています。

BF3の面白いところは飛行機だけでなく歩兵、戦車、対空砲などが共存してるところです。

またフィールドの広さや飛行機の飛ぶ速さ、逃げる余地、撃つまでの狙い時間といった諸々の要素を合わせつつ遊び心地を高めるのは興味深い題材だと思っています。

そういうレベルのデザインのさじ加減は自分も蓄積していく必要があると思い、今回は飛行機を飛ばしつつ、人が走り回るフェーズも追加してみました。また、歩いてるときに上を見上げると飛行機がいい感じのスピード感で飛んでるように見え、飛行機に乗ってる人もまた気持ちよく飛べるのを目指しています。

それに伴い、飛行機の大きさは最初に制作していた時よりかなり小さく設定しました。このサイズ感は単に現実の飛行機に近づけるよりも、ゲームプレイを通じて調整しています。今後の制作でいい作用をするのを期待しています。

次にwanoco4Dさんの原点についても教えてください。

───制作を始めたきっかけは何ですか?

リトルビックプラネットという、作る系のゲームを小学5年生あたりで始めたのがきっかけです。このゲームはマリオのような横スライド形式のアクションゲームで、自分でステージを作ることができます。横スライドですが奥行きが3人分あって奥行きのある世界が作れて、組み合わせて車みたいなモデルも作れます。

しかし自由度には限界があり、ゲームのルールから解放され自由に作れる3DCG制作に興味がわきました。その後「トランスフォーマー」などの映画で映像にハマりました。

リトルビックプラネットで作っていた、今作のゲームの原型になった飛行機

───そこから、3DCGを始めたのはいつ頃ですか?

パソコンは親父がゲーム好きで、ゲーム用PCがリビングに開放されていました。そこにBlenderが入ってたので、流れるように始めました。2015年の夏です。

───CGクリエイターを目指し始めたきっかけは何でしたか?

CGクリエイターになろうとしたのは、大学院1年の頃です。ゼミを通じて機械系企業での仕事の様子が見えてきた段階でした。進路を決めるにあたり重視したのは、自分の得意や知見をできるだけ多く仕事に反映できることです。

機械系は非常に有意義で面白そうなのですが、その進路では現場にいくことは稀で作図をする人などは見当たらなかったです。発表資料にCGが活躍する可能性はありますが、上流で理論をつめたり発表するのが多いようでした。

いっぽうCG制作は機械の知識が存分に生かせます。活かさなくても作れるのですが、必須でない知識でも、とにかく結果に活かせれば充実感がありました。

今回の作品でも、一部の飛行機は流体力学に出てくる翼形に基づいてデザインをしていて、揚力を稼ぎやすい印象が出てるはずです。

翼形を意識した飛行機のモデリング過程

───機械系の知識を活かしてCGクリエイターとして制作していたようですが、今回ゲームを作ろうと思ったきっかけについて教えてください。

ちょっとスピった話ですが、物事は12年周期で法則性を見出しやすいという話を少し参考にしています。

12年で小中高を卒業し大学に行く、みたいな環境変化中の心理を参考にしてみようと思っていて、私はちょうど今年でCG歴12年目になるので、ここでやっとずっと興味があったゲーム作ろうと一歩進めました。

近年のAIによる環境変化のひりひり感は、高校に入った時のひりひり感と捉えるとなんか面白いです。

───これまでの制作を振り返って、転機になった作品はありますか?

前回特集いただいた「Flexible Chassis」です。

作品の専門性で、CG屋の中でのユニークさを得られたと思います。

これはクルマの機構を作りつつ、車幅も変えられるという多機能なモデルです。作るにあたり、最初から破綻なく形を想像するのは難しく、逐一作りながらぶつからないように形を調整したり、動きが最大になるように関節位置を調整したりしました。結果できたものは複雑な背景があるため、形状の妥当性を動画で示す必要があります。

動かしてみなきゃわからない、想像だけじゃ難しいという現実感が、自分的には情熱を注ぐ価値を感じると実感しました。

普段の制作について教えてください。

───制作中に壁にぶつかった時、なにをしますか?

時間の締め切りを設けて、強制的に畳みます。

───クライアントワークと自主制作での違いはありますか?

クライアントワークでは積み上げた経験を堅実に生かします。一方で自主製作は経験を得るために冒険します。

───制作している時のマイルールはありますか?

新しい気づきを得られる題材を選ぶことです。

そのとき、技術という自分ではコントロールできない他者性に触れ続けるのが必須です。

今回の制作でいうと、Roblox内でオリジナルの3Dゲームを作成できる、無料ゲーム制作エンジンのRoblox studio のシステムです。

───今回気づきを得た、Roblox studioのシステムとは?

今回気づいたのは、ゲームまたは映像を充実させるうえで、作るべきアセットに優先順位があるってことですね。飛行機はずっと画面を占めるため重要ですが、ドロップする収集物は小さいので、作りこむと負荷になります。ローポリでも大胆なシルエットにしてしまうほうがゲーム的にはよさそうだし、映像においても力みすぎない方がいい時もあると思っています。

あとは、CGにおける揺れモノに関するシステムの妥当性や、破壊したときにいい感じに転がるようモデリングする必要性も気づきました。今までは転がり方を作るなんて、突き詰めてこなかったのでこれからが楽しみです。

───最近観た作品の中で、刺さったものはありますか?

最近だとBungie社の「Marathon」というゲームです!この会社はずっとSFゲームの開拓者で、Marathonはシンプルで大胆な3Dモデルでリッチな画を作れている所に痺れます。

これは最近のレイトレーシング技術(光の反射などをリアルに計算する技術)を意識したディレクションだと私は推測してて、まさに開拓者の技だなと思いました。

ひとまずRobloxでレイトレは難しいですが、世界を赤寄りに作って疑似的に真似てみました。

最後に

───まだカタチになってない、これからやっていきたいことは?

とりあえず車のゲームです!Blenderで車をよく作ってますが、それがゲームにも出せたら楽しそうだと思っています。あとは採掘ゲームを試作中です。

インタビュー対象者

wanoco4D

wanoco4D

CGアーティスト

静岡県浜松出身 京都大学工学部物理工学科 機械システム学コース卒業

X IG

記事執筆者

Akiko Oshima

Akiko Oshima

Interviewer / Designer

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文字の彫り表現を探求するため、自ら文字を書き、彫ることで表現の可能性を突き詰めた卒業制作「文字の三次元—字彫りの研究と実践—」。また2023年のムサビの入学式以来、3年にわたりムサビ生たちの記念撮影の定番となった卒入学式の立て看板。文字をテーマに制作してきたカトタクさんの原点となった経験や、卒業制作に至るまでの思考の過程についてお話を伺います。
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