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妥協なき映像制作『Rocket』の裏側を覗く

構図、ライティング、画の変化、一秒ごとの映像が徹底して作り込まれた、『Rocket』。三次元無双優勝作品の制作のきっかけをVFXアーティスト・木皮司さん本人に聞きました。

───こちらの作品、着想/企画はどのように生まれたのでしょうか。

車が走ってる映像を以前からやりたいと思っていたので制作に取り掛かりました。 たまたまAppleTVのドラマを見てた時にいいカメラワークがあったのでそちらを参考にしました。

───コンセプトはどんなことを一番最初に考えて制作に移されましたか?

まず、前半と後半で画的なコントラストが出るようにしたいと考えました。 最後のロケットが最初から見えていると映像としてのサプライズがなくなりますし、車がただ走り続けるだけでは単調になってしまいます。そこで、画に変化を持たせることを意識して制作しました。 題材とコンセプトが決まれば、作りながらよりよく見えるように調整を重ねていく流れで進めました。

───進め方はどのように作られたのでしょう。

blenderでモデリング(キットバッシュも使用)、アニメーションなどのレンダリングまで行い、そのあとNukeでコンポジットを行いました。

───自分の中で自分っぽさが出たなと思ったところ、魂を込めたと思えるシーンはありますか?

自分ぽさが出たのはライティングで、魂を込めたのはラストの画です。


───つくるうえで、どうしても譲れないポイントなどはありますか?

チープな映像にしないこと。制作途中でよくならなさそうだったら最初から別の題材でやり直すことはよくあります。

幼い頃にテレビを見ていて番組内で再現CGのようなものが使われてた時に、現実にないものが作れたりすることにロマンを感じました。

高校2年か3年生くらいだったと思います。

───自主制作の中で、よく参考にするものはありますか?

Artstationをランダムにいろんな人の作品を見ることが多いです。そうすると、自分のアイデアや感性が広がる気がして。その中で気に入った作品はブックマークしています。

───最近見たもので「これ、自分には刺さるな」と思ったものはありますか?

AvatarやAvengersなど圧倒的なVFXのクオリティを見ると刺さります。

───作品によくいれてしまうようなモチーフや、逆にまだ形になってないけど作りたいものなどはありますか

モチーフとして多いのは建物や乗り物系です。形になってはいないけど作りたいものは大自然系ですかね。


───映像以外の趣味や休日やっていることはありますか?

ランニングや読書です。

───ガジェットやデバイスに対する愛とか、こだわりあればぜひ聞きたいです。

キーボードは打鍵感やデザインがいいものが好きです。

───将来の夢や目指してるものはありますか?

海外映画に携わりたいです。


インタビュー対象者

木皮 司

木皮 司

Compositor

株式会社白組にて映像制作業務に従事した後、KASSENへと活動の場を移す。これまで培ってきた技術と表現力を生かし、幅広い映像に携わっている。

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記事執筆者

oshino

oshino

インタビュアー

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