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1日で生まれた短編映像『自撮りの鬼』CGアーティスト石田のこだわりと遊び心
イラストレーターであり、CGアーティストでもある石田。アセットを駆使し1日で作ったという、短編映像『鬼と幽霊』。そこに込められた感性の源、着想の瞬間、そして制作に潜む”偏愛”まで――根掘り葉掘り聞いてみました。
───今回の作品、どうやってアイデアが生まれたんですか?
ホラゲ実況を見てたら急にホラー作りたくなっちゃって。それで、前に作った鬼のキャラクターと脱衣所の背景を使って映像にできないかなって思ったんです。
───1日で制作されたってことですが、脅威的なスピードですよね。絵コンテとかは作ったんですか?
いえ、絵コンテはなくて。シーンを構築しながら各カットの構図を決めていきました。
───じゃあその場その場で決めていくってことですか。自主制作ならではの勢いとスピードですね。
───キャラクターの設定とかはどうやって考えたんでしょうか。
鬼は質素な一人暮らしって設定で、生活感を出すために洗面台や小物をリアルに配置しました。ドア横にスイッチとか給湯器の操作盤を置いたりして。細かいところにリアリティを詰め込むのが好きなんです。
───細かい…!見逃しがちな部分まで意識して制作することでリアリティが出てるんですね。
───制作で一番大変だったことを聞かせてください。
やはりアニメーションです。ポップなキャラクターだと分かりやすくて作りやすいですが、個人的にクールで現実味のあるキャラクターが好きなので、大げさじゃないけどセリフが無い中で感情が伝わるようにするのが難しいです。
あと普通にだらんと腕が垂れる動作とか、重力を常に考慮しないとすぐ不自然に見えます。
───制作の振り返りや、新しく気づいたことってありますか?
後半に出てくる鬼の写真、実はPhotoshopじゃなくWindows標準のペイントでレタッチしてます。
みんな一瞬しか見ないから。あと、音は本当に大事だと感じました。フリー素材の効果音だと安っぽくなるんですよね。
───見る人がどう感じるか、ということにすごく注力しているんですね。
───制作で一番大事にしていることについてお聞かせください。
見る人の視点に立つこと。
今時面白いものや見る価値のあるコンテンツは星の数ほどあるのでその中でわざわざ見てもらうには?ということを常々考えています。
SNSで作品を投稿し続けている石田さんだからこその意識ですよね。このインタビューを通しても石田さんの制作の姿勢が見えてきます。それではここから石田さんの日常について伺わせてください。
───最近面白かったものってありますか?
こんにちパンクールの動画で『鍋が一切出てこない鍋キューブのCM』という視聴者投稿の回答に感銘を受けました。俳句のような潔さと想像させる力があると思いました。
───休日とか何されてるんですか?
一生オモコロチャンネルを見ています。あとたまにタコスを作ったり。
───最近見たもので「これ、自分には刺さるな」と思ったものはありますか?
frutiger aeroというグラフィックデザインのジャンル(Wiiや2000年代のappleのUIの雰囲気)がノスタルジックでいいな~と思いました。流行ってないけど。
───流行るといいですね…。最近、日常で小さな違和感や引っかかったことはありますか?
絵は誰でも描いたことがあるから難しさ、うまい絵を見た時のすごさが伝わりやすいけど3DCGって傍から見たらどんなものがすごいのか分かりにくいのが欠点だなー、とふと思いました。
業界外の人にとって、リアルな実写合成よりも『実際に爆破して撮影しました』と聞いた方がなんとなくこだわってそうな感じがするんじゃないかなあ。
───では最後に、将来の夢や目指してるものってありますか?
シンガポールへ旅行に行きたいです。
素直な言葉でたくさん語ってくださって、ありがとうございました。今日のお話がそのまま作品にもつながっていくのが、今からとても楽しみです!本日はありがとうございました!
インタビュー対象者