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『大怪獣vs巨大少女』という実験

一本の作品を複数のアーティストでリレー形式に制作するという実験的な試みから始まった、Colosoのチュートリアル制作をきっかけに生まれた本作。
特撮への憧れと、「馬鹿馬鹿しいことを本気でやる」という姿勢が融合した、チュートリアルでありながら一つの映像作品として成立するこの挑戦作について、話を伺った。

───この作品を作るきっかけを教えてください。

Colosoさんからチュートリアル制作のお声がけをいただいたことです。

Colosoさんのチュートリアルは“一人で完結するタイプのアーティスト”向けが多いのですが、自分は一人で作品を作りきれないので、一本作品を作り、リレー形式で様々なアーティストのチュートリアルを作る仕組みを提案しました。

そこで、いつも仕事でご一緒しているスタジオの皆さんにお誘いの声をかけ、最終的に新人教育にも使えるということで納得していただけました。

チュートリアルにするなら、“チュートリアル映え”する要素が必要だと考え、実写合成、女の子、戦闘アニメ、破壊エフェクト、クリーチャーなど、様々な要素を違和感なくつなげられる筋書きを練っていくうちに「大怪獣 vs 巨大少女」というコンセプトが自然と浮かんできました。


また、昔から自分なりに特撮をやってみたいという思いがずっとありました。コストはかけられないけれど、シン・ゴジラを観て感化されて挑戦してみたいと思っていましたね。

───コンセプトを書くとき、一番はじめに何を書いたのしょうか。

100m級の巨大な女の子と怪獣のバトルシーンです。そこから逆算してストーリーを制作しました。

ただ、予算の制限があったので、最初の筋書きから三分の一ほど削る必要がありました。その過程で、不要なシーンを省いたり、説明的にならず状況を伝える方法が洗練されていきましたね。

───制作を始めた当初、「これはおもしろい」と思った瞬間などはあるのでしょうか。

冒頭でクオリティの高い街を見せておけば、これは実写なんだと思って、最後までその街で戦っているように見えるだろうと。CGで作るより実写の方がいいと思って撮影に行ったことですね。

そこで、カメラマンと一緒に街中やビルの窓、遊覧ヘリコプターにも乗って、素材取りをした。実写に合成するアイディアを考えた時、特にヘリコプターに乗った時は、周りの人は結構「なんでヘリコプター乗るの??意味ある??」と懐疑的でしたが、馬鹿馬鹿しいことに真剣に取り組む面白さを感じました。

───作品の中で、自分らしさや癖が出る時はどんな時でしょうか。

ドラえもん、スターウォーズ、ポケモン、ドラゴンボール、アイアンマンあたりが自分の中の“アツい演出の基準”になっているようで、気づくとそこから着想を得ていて、結果的に全年齢向けの企画になりやすいところです。“いっけー!”と叫びたくなるような熱狂度合いでしょうか。は無意識に入ってます。

制作で壁にぶつかったときも、『天元突破グレンラガン』のようなアツい作品のセリフを聞いて、“あぁそうだよな…”と奮い立たせています。

───今回の制作を通して、発見のあったシーン、頑張ったシーンはありましたか?

デジタルヒューマンを初めて自分で扱ったのですが、とても難しかったです。

ラストで怪獣をぶん投げたあと“つづく”と出ますが、続編の予定はなく、本来は“これがのちの東京湾花火大会である”と出す予定でした。ただ、完成直前に「すべってないかな、、、」ち不安になってやめました(笑)

───最後に一言あればお願いします

自主制作映像を作る、というのが嫌いでした。

大学在学中、そして卒業して数年間はたくさん作っていたのですが、自主制作とそうじゃない制作の違いって何だろうな、と思うようになったんです。

人に求められて、お金がついたら仕事。

誰からも求められていない、自費で作ったら自主制作。と段々区別するようになって。

でも、仕事で自分がある程度好き勝手にやらせていただけるようになってきたところで、その垣根がなくなっていき、自主制作のように仕事を、仕事のように自主制作を、すればいいという事に考えが変わったんです。

何か作りたいと思ったら、それ相応のチャンスを作ってから取り組むようになりました。とはいえ、自分の衝動的な制作欲求に任せて、一人で勝手に作るようなそんなことにも、そのうち挑戦したいなとは思っています。

インタビュー対象者

太田貴寛

太田貴寛

KASSEN CEO / VFX Supervisor / Director

株式会社KASSEN代表。日本大学芸術学部映画学科卒。CM制作会社での制作進行を経て、Flame Artistに転身。その後VFX Supervisorに。 制作部出身の知識とファシリテーションスキル、発想力とコミュニケーション能力を武器に、企画段階からスーパーバイザーとして参加することも多数。 VFXを得意とするDirectorとしても活動の幅を広げている。

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記事執筆者

Mimi Shiota

Mimi Shiota

Interviewer / Designer

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